キャリア犬は病気ではない

キャリア犬に対して、認識の誤解や偏見が持たれてしまいがちですが、キャリア犬は基本的に『発症する事がほぼない』と言われています。

ノーマル(陰性)犬と同様に、日常生活はもちろん、訓練・ドッグスポーツ・展覧会、いずれの世界でも楽しめますし、繁殖を考えない方は一切悲観する事ではありません。
また、繁殖候補にしたい方は、交配相手に『必ずノーマル犬を選択』する事によって、その資質を未来に繋げていく事は出来ます。

現時点で重要なのは【アフェクテッド(陽性)犬を産み出さない事】です。
キャリア犬を繁殖候補から一切排除してしまう事は、他の遺伝疾患とのバランスを崩しかねないので、むしろ危険とも言えます。
検査が出来るようになったのはここ数年の話ですので、検査結果がキャリアやアフェクテッドであっても、後ろめたい想いを持たれる必要はありません。
現時点で、過去の繁殖結果を批判する事は無意味なことです。
何度も申し上げますが、何よりも重要なのは【未来の命】に対しての責務です。
キャリア犬でも素晴らしい資質を持っているのであれば、公表し合える同士からノーマル犬を選んで、その資質を次世代に繋げてほしいと思います。
※その為にも、『繁殖犬の検査』と『結果の公開』が広く浸透していかなければならないのです。

また、アフェクテッドであった場合、出来る限り繁殖候補からは除いていただきたいところです。しかし、どうしてもその資質を残したいという事であれば、必ずノーマル犬を交配相手として選んでください。
生み出された犬は全てキャリア犬となります。繁殖者の方は、『その子犬達(キャリア犬)の将来の繁殖について、必ず、管理・通達し、その責任を最後までまっとうしてください』

個体検査の重要性

そして、もう一つ認識して頂きたい事は、両親が共にクリア(ノーマル犬)でない限り、産み出される仔犬たちは【それぞれ個別の遺伝子を持っている】という事です。

例えば、10頭産まれた仔犬のうち1頭を検査した結果がクリアだったとしても、それはあくまでも「その犬自身」がクリアだという事実であり、残る9頭および両親犬がクリアである証明にはなりません。
つまり、両親犬双方の遺伝子が分からない限り、残る9頭の中にアフェクテッドが出る可能性も十分あるという事なのです。

命を生み出すことの責任

繁殖犬の未検査による遺伝子の拡散は、大変危険です。
人気のオス犬が未検査のまま繁殖を続けた場合、万が一、そのオス犬が変異遺伝子を持っていたとしたら・・と想像してみてください。
瞬く間に、変異遺伝子を持った命が産み出され、そのループを断ち切る事が容易ではない事はお分かりいただけるかと思います。
未検査犬による繁殖は、非常にハイリスクであり、将来のシェパードの健全性を大きく損なう危険があると言う事を知っていただきたいと思います。

残念ながら、シェパードはDM以外でも遺伝的疾患を発症する割合が多い犬種だと感じます。

野生動物のように、自然淘汰という厳しい環境による遺伝子継承とは異なり、犬の場合は、私たち人間の手による意図的な繁殖によって、彼らの遺伝子は継承されていきます。
人の手を加える以上、その犬種に多い遺伝病を常に学び続け、最新かつ正しい知識を備え持ち、遺伝病のコントロールにも目を向ける事は、繁殖者として重要な責任ではないでしょうか。

将来を見据えた犬種の健全性、犬質の向上は私達ジャーマンシェパードファンシャーにとっての強い願いです。
この願いは、繁殖者の方々の願いでもあるはずです。

是非一度、他の疾患と同様、シェパードのDMに関して真剣に考えていただけたらと思います。



※参考:遺伝子検査の表記について
(遺伝子検査の結果に関して、検査機関や資料によって用語が異なっていることがあるので、一覧表を作ってみました。)



*注『常染色体優性遺伝やその他の不完全優性遺伝疾患には適応されません』
***DMは常染色体劣性遺伝です***


*遺伝子レベルの事は未解明のことが多く、断定はできません。*




繁殖者さま用・1ページ

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